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そぶりをやめて
第8章 140日
「声、んなガマンしてたら、苦しくないか?」

汗ばんで頬に張り付く汐里の髪を、撫でるようにして佳佑が後ろに動かす。

「...だって」
「さっき、もっと声出てたよ」

それを言われると、返す言葉がナイ。

佳佑がゆっくりと動き出し、喪失感からチカラが抜けて、汐里はその場にへたり込む。

「え...」「待ってて」

肩のあたりにキスを落としてから、立ち上がった佳佑がふっと視界から消えた。

カッカッという小さな音と、その後に少し間をおいて、ゴーッというエアコンの音がする。
汗ばんだ肌の上を涼しい風が当たった。

滅多に人が泊まらないこの部屋には、古くて大きく木目調の、相当年代物のエアコンがついている。
エアコン本体からコードが伸びていて、その先に四角いリモコンめいたものがついている。
そこには、上下に可動するツマミがいくつかついていて、風の強さ等が変えられるようになっている。
”強”にするとけたたましい音がするので、”弱”にしていたのだけど。

ツマミを調節した佳佑が素早く戻ってきて、横向きに後ろから組み敷かれる。
実際はほんの一瞬だったのだろうが、その温もりが離れ難かった。
手足を絡ませ、体をひねって唇を重ねる。

「ん...音、すごくない?」
「だからいいんじゃん。熱いし、ちょうどいい」

エアコンからは、相変わらず”ゴー”っと。
室外機からは、おそらく”ゴウンゴウン”という音が響いている。

確かに、汗だくだけど。
これじゃ、すぐ寒くなってしまいそうだ。

「大丈夫、スグ熱くなるから」

そう言って自分の指をひと舐めすると、そそり立つモノを汐里のお尻にあてがい、太ももを持ち上げてナカに沈めた。

「...はぁあっ。...んっ」

横向きに足を佳佑の腕に引っ掛けるようにして広げられ、後ろからナナメに突き上げられる。
未だ体験したことのない体位だ。
いつもと違う場所を擦り上げられ、激しい動きではないのに、体が大袈裟なほど反応してしまう。

「あんっ、やっ...こんな」

太ももをより高く持ち上げられより奥を狙い動きながら、その足を引っ掛けた腕が伸びて胸を揉みしだく。

「あっ、あっ、っあ...ああああっ」

次第に強く突き上げられていたところへ、繋がった場所の近くにある膨らみに胸で踊っていた手が伸びてきて、細かな刺激で声がほとばしる。

「っ、は。締めすぎ」
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