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バツイチと言わせない
第6章 歪んだ愛情
蒼太の家を後にした康介は
胸のつっかえが取れて何だか気分がすっとしていた。

『そうなんだ。何も隠す必要なんかないんだ。
愛しあっているんだから
堂々としていればいいんだ』

胸を張って前を見据えたとき、
視界に蒼太の姿を見つけた。

「よおっ!」

何事もなかったかのように
蒼太は片手を上げて康介に挨拶した。

「先輩…僕、すべておばさんに話しました」

「そうか…母さん、びっくりしてたろう?」

「僕と希美子の事よりも…先輩が…その…」

「俺が同性愛者ということに驚いていた?」

「まあ…うん、そうだね」

「そりゃあ驚くわな」

そう言うと豪快に笑った。

「俺からちゃんと母さんに話すよ」

「うん、がんばって…」

「無理やり尻に突っ込んだり
しゃぶらせて悪かったな。
けどこれだけは言っておく。
俺は本当にお前が好きだ」

うん、わかってる。

言葉にせず康介はただ肯くだけだった。


康介はその夜、食欲もなく
夕飯をパスして部屋に籠もった。

美穂子に話したように
母にもちゃんと希美子の事を話せるだろうか…

さてどうしたものかと思案していると
お隣の希美子の寝室に灯りが灯った。

希美子がカーテンを開けて康介の姿を見つけると
笑顔で手を振った。

『電話していい?』

親指と小指を立てて
通話ポーズをしながら
希美子の口がそう動いていた。

うん。いいよと肯くと
希美子はスマホを取り出し操作し始めた。
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