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揉ませていただきます
第5章 男性編 マッサージの依頼

「鼠径部もお願いしていいかしら?」

女は健斗の返答も待たずに寝返りを打ち、
仰向けになった。

浴衣の下には下着をつけておらず
浴衣がはだけて黒い翳りが顔を覗かせた。


「す、すいません」

健斗は慌てて手ぬぐいを
女の股間に掛けて隠そうとした。


「そのままでいいの…」

「いや、しかし…」

ふとした瞬間に指先が
大事な部分に触れてしまうかもしれないし…

「ううん、できれば触ってもらいたいの…
私ね、死に場所を探しにこの地へ来たの…
だから最期にもう一度だけ
男の人に触れてもらいたくて…」


やはり訳ありだったか…

話を聞くと、どうやら彼女は
子供が出来ない体なのだそうだ。

結婚後にそれがわかって
旦那に離縁されたと言った。

なんでも由緒ある家系なので
血を途切れさせることは
許されないことなのだそうだ。

「私…女はおろか
人間としても失格の烙印を押されたようで…」

「そんなことはない!
あなたは素敵な女性ですよ!」

健斗は知らず知らずのうちに
彼女の翳りを撫でていた。


「あなたの手で
私のマイナス思考を揉み消して下さいませんか?」


女は健斗の手を草むらの下の沼地へと導いた。


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