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揉ませていただきます
第8章 女性編 女指圧師
ただ気がかりなのは
地元に一人残してきた父親の事だった。
故郷を離れると告げたあの日、
父は「お前も俺を捨てるのか」と泣いた。
静子が小さい頃、
母親は離婚届一枚残して家を飛び出した。
都会から旅行に来ていた若い男と
デキてしまったのだった。
もとより男遊びが派手な母親だった。
近くのスナックで夜の仕事をしていて
馴染みの客と不倫もした。
バレる度に父が男の元に乗り込んで
傷害事件寸前になったことも度々だった。
旅立つ静子に、
きっと父は男でもデキてそいつの尻を追いかけるのだろうと思ったことだろう。
「蛙の子は蛙だな」
そう呟き、家を出る日も
見送りには来てくれなかった。