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愛の隠れ家
第2章 露出狂の女
ロビーのタッチパネルの前で、
男は女の耳元に口を寄せて囁いた。
「ショータイムの始まりだぜ」
フロントの呼び鈴を鳴らすと
奥から「は~い」と若い女の声がした。
「すいませ~ん、
部屋の選び方がわからないんですけど」
「お好きな部屋のボタンを
押していただければいいですよ~」
と、声だけの対応で済まそうとした。
すかさずに男は
「ちょっとこっちに来て教えてくださいよ」と怒鳴った。
フロント係の綾瀬光子は
ヤレヤレと言う表情でロビーに足を運んだ。
『たまに年配のお客さまで
トロい方がいるのよねえ…』
フロントの奥から覗いていると、
どうみても70歳ぐらいのカップルが
たまに訪れることがある。
勃起するのかしら、
ちゃんと濡れるのかしらと
他人ごとながら心配してしまうことがある。
それこそ、変な薬を使って
腹上死はしないだろうかと、
そのカップルがチェックアウトするまで
ハラハラするものだ。
だが、目の前のカップルは
3、40代のさせ頃し頃の二人だった。
「どういったお部屋がご希望でしょうか?…」
返事がないので振り返ると、
男女はディープキスを始めていた。
舌と舌を絡ませあい、
お互いの口元は唾液まみれだった。