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愛の隠れ家
第5章 忘れ物を取り戻したい男
佐藤がオドオドしながらラブホテルに現れた。
なにも悪いことをしたわけではないので、
堂々としていればよいものを
忘れ物の品物が品物だけに、
恥じらいの心が佐藤を挙動不審にさせた。
やや控えめにフロントのベルを押した。
チン…
ベルの音さえも、
申しわけなさそうに鳴り響いた。
だが、佐藤の耳には
とてつもない大きな音に聞こえ、
慌ててベルを手で触り余韻の音を消した。
しばらく待ちぼうけたが、
一向に係員が姿を現す気配がなかった。
ロビーから、ベルの音がしたように感じた。
『空耳かしら…』
光子の目はモニター画面に引きつけられ、
体の全神経は股間の泉に集中していた。
画面の中の男は愛子の体をまさぐりながら、
チラッ、チラッと防犯カメラに視線を送っていた。
『待ってろよ…次はお前を抱いてやるからな』
男の目がそう言っているように感じた。
お願いします、その女の次でいいから…
私を天国に連れて行って…

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