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愛の隠れ家
第6章 私にも頂戴
「あアん…」
光子は処女を散らしたとき以来の
甘い声を男の前で発した。
大学二回生のときにコンパに誘われ、
光子はそこで男にお持ち帰りされて処女を失った。
処女を奪った男はルックスもよく申し分なかった。
処女であることを光子は話さなかった。
生まれて今日まで
男というものに縁がなかったなどと
思われたくなかったし、
なによりも当時は処女の女など
恋愛するうえで重いと敬遠される風潮があった。
男は光子をホテルに連れ込むと
「シャワー使いなよ」と言った。
バスタブに湯を張って共に湯に浸かり、
気持ちを高ぶらせていくものだと思っていたから、
愛の囁きもなく、
さも当たり前のように言い放った男の言葉に
少し肩すかしをくらったような気分だった。
「なにしてんだよ、時間がもったいねえだろ」
男は宿泊など、
これっぽっちも考えていなかった。
「あの…脱衣室は?」
どこで脱衣すればいいのかわからずに
光子は男に訊ねた。
「超うけるぅ~」
君みたいなおとなしい子が言うと
冗談が冗談に聞こえないよね。
男はそう言って大笑いした。