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蒼い春
第7章 ほんとうの春
「いいですよ、
当直の交代を引き受けさせていただきます」
そう言ったとたん、
幸久の顔が満面の笑みに変わった。
「ええ?いいのぉ?いやあ~悪いねえ…
ほんとにごめんね~
あ、当直の相手は颯太先生だから、
おしゃべりをしていたら
あっという間に朝が来ますよ」
え?颯太が当直のパートナー?
奈央の心臓は一気に早鐘を打ち始めた。
職場とはいえ、颯太と一夜を共にする…
実質、これが
最初のお泊りデートのようなものだった。
当日、幸久先生は背を丸め、
体を小さくしながら
「じゃあ、奈央ちゃん、後を頼むよ」
といってサッサと帰ってしまった。
誰もいなくなり、静まりかえった学園。
颯太が
「奈央、腹が減ったろ?メシにするか?」と
出前を頼んでくれた。
決して豪華でなく、
ありきたりの中華そばだったが
颯太と二人で食べる食事は
どんな料理であろうと
三ツ星レストランの味がした。
「そうだ!奈央。プールで遊ばないか?」
おもむろに颯太が提案した。
「プール?そんな…水着も持っていないわ」
そういうと、
「二人だけなんだぜ。水着なんていらないさ。
素っ裸で泳ごうぜ!!」と
強引に奈央の腕を取りプールに連れて行かれた。
プールサイドで衣服を脱ぎ捨てると
「ひゃほ~っ」と叫びながら
颯太はプールにダイビングした。
「奈央も飛び込めよ。気持ちいいぜ!」
ほんとだ、颯太ったら気持ちよさそう。
奈央も衣服を脱ぐと
プールサイドから静かにプールに入水した。
「きゃあ~!冷た~い」
夏とはいえ、夜のプールは
肌を刺すような冷たさだった。