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蒼い春
第1章 ロストバージン

その夜、母が帰宅しても
奈央は部屋に閉じこもり、
布団をかぶって静かに泣いた。

様子がおかしいと思った母は、
夫に奈央の様子がおかしいと問い詰めた。


「思春期なんだろう?
気難しい年頃になってきたもんだなあ…」

白々しく嘘を語る義父の声が
襖の向こうから聞こえた。


家を出よう。

もう鬼畜の義父の顔など見たくもなかった。

そんな男を選んだ母の顔も見たくもなかった。

そんな養父に抱かれた自分自身を呪った。


夫婦が寝静まった深夜、
奈央は身の回りの物をボストンバッグに詰めて
こっそり家を抜け出した。

暗い深夜の街を彷徨った。

これからどこへ行こう…
行く宛てなどなかった。

何名かの親友の顔が思い浮かんでは消えた。

なんといって逃げ込めばいいと言うのだ?

私は義父に犯されました。
傷物にされました。
どうかご厄介させてください。

そう言えばいいのか?
そんな恥ずかしい
みっともない真似はできなかった。

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