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蒼い春
第2章 恩師 月島弓子
警察に連絡すると共に、
産婦人科に駆け込み洗浄処置を受けた。
男の体液は
産婦人科医が採取し警察に提出された。
警察では若い2人の刑事が
調書を作成してくれた。
執拗以上に事細かく
その時の状況を話さねばならなかった。
そのときのことを話して
弓子は精神的に
二度目のレイプを受けたようなものだった。
その後、犯人は別の強姦未遂事件で逮捕された。
だが弓子の心と身体は
いつまでもレイプされていた。
そんな弓子を地獄から救い出してくれたのが
今の夫、月島幸久だった。
高校でクラスメートになると、
同じ美大の進学を希望する夫とは
考え方もフィーリングも弓子と合致した。
いつしか恋愛感情が芽生えた2人だったが、
弓子は次の1歩を踏み出す勇気がなかった。
あの日のレイプが
暗い影を落としていたからだった。
共に美大に進学し、
入学の祝いだと2人して海にドライブして
渚で幸久はやさしく弓子を抱きしめた。
これ以上、
幸久の好意に甘えていてはいけないと
弓子は洗いざらい告白した。
自分は傷物だと…
愛される資格はないのだと…
幸久は全てを受け止めてくれた。
弓子の苦しみも全て分かち合いたい。
心の傷も二分すれば
少しは軽くなると言ってくれた。
二人が結ばれて
結婚するのは必然のようなものだった。