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蒼い春
第2章 恩師 月島弓子

義父は、臭い飯を食う事などかまわないと
奈央を襲った時に言っていたのに、
大口を叩いていた割には
土下座して泣いて詫びた。

奈央は土下座する義父の横っ腹を
おもいっきり蹴り上げた。

義父は、のたうちまわったが
構わずに弓子が止めに入るまで
何度も蹴り上げた。

「私の心の痛みは、
その何倍も痛いのよ!!!」

涙を流しながら、
今すぐ出て行け!と追い出した。

そして自分の部屋に戻り、荷物をまとめた。

どこへ行くあてなどなかった。

そんな奈央に弓子が

「もしよかったら私の家に来る?」
と提案した。

母にも
「お嬢さんを預からせてください。
心の傷の手当てのお手伝いがしたいんです」
と言った。


そして奈央は母と別れ、
弓子夫妻との共同生活を始めた。


形は居候というものだったが、
子供のいない弓子夫妻は
奈央を我が子のように大事に接してくれた。

ほとぼりが冷め、
お母さんの元に
帰れる決心がつくまでという事だったが、

中学を卒業し
高校生活も
そろそろ終わろうかという時期になっても
奈央は母の元へ帰る心の整理がつかなかった。

弓子の夫の幸久は
奈央がかわいくてたまらなかったから

「いつまでもこの家にいていいんだよ。
あ、なんならこの家から嫁にでるといい」
とさえ言うほどの溺愛ぶりだった。

その都度、弓子は
「あなた、そういうわけにもいかないわ…」と
幸久をたしなめた。

奈央も、この夫妻が大好きだった。


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