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蒼い春
第4章 同僚の沢口先生
月島邸は明かりが煌々と灯っていた。
腕時計を確認すると12時近くになっていた。
就寝の早い夫妻がまだ起きてる?
「今夜は、遅いからこれで失礼するよ」
タクシーの中の沢口としばらく見つめ合った。
タクシーの運転手が苛立って
「出していいですか?」と発車を促した。
小さくなるテールランプを見届け
玄関の鍵をバッグから取り出し、
静かに解錠して中の様子を窺った。
明かりはついているものの
物音ひとつしなかった。
帰宅のために
明かりだけを灯してくれてたのだろうか。
「ずいぶん遅かったね?」
いつの間にか月島が背後に現れていた。
「こんなに遅くまで出歩くことを
許可した覚えはないんだがね!
奈央ちゃんは私たちにとって娘同然なんだ。
遅くなるなら遅くなるで
電話一本ぐらいかけてきたらどうだね」