この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
保険外交員の営業痴態
第7章 コンビネーションプレー
「まあまあ、そんなに緊張しないでいいから」
あからさまに明子さんと会話していた時と
口調が変わった。
作戦成功だといわんばかりに
明子さんは男に気づかれないように
小さくガッツポーズした。
「研修のために私に同行させています」
明子さんが私を連れてきた言い訳をした。
「そうですか、
どうです?仕事になれましたか?」
男はそう言いながら
どうぞ、こちらにお座りくださいと
応接セットのソファへ導いた。
「まだ、全然慣れることができなくて…」
真由美は話を合わせるように
か細い声でそう言った。
「そうだ、コーヒーでも飲みますか?
美味しい豆をいただいたんですよ」
こちらの返答を待たずに
男はコーヒーメーカーに豆をセットした。
すぐさまいい香りが部屋に漂い始めた。
「ところで社長、
例の生命保険の事なんですが…」
「明子さん、無粋ですよ
いきなり保険の話ですか?
僕はねえ、この新人さんと
親睦を計ろうとしているんですよ
その話はコーヒーを飲んでからでもいいでしょ」
若い社長は3つのカップにコーヒーを入れて
テーブルに着いた。
「いえ、その…
社長さんはお時間がないかと思いまして…」
「ああ、渡米の件?
いいんです、ニューヨーク行きの飛行機なんて
次々と出ているんですから」
さあ、コーヒーをお飲みなさいと
二人にすすめた。