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保険外交員の営業痴態
第10章 帰省
「この後、バスはノンストップで
終点へと向かいます」
あら?
予定ではもう一度だけ
パーキングエリアに止まるはずなのに…
先ほどの柔和なアナウンスとは違い
やけにツンケンした口調なのも気になった。
おまけに心なしか運転が荒いような…
まさか真由美らが
イチャイチャしているのが原因だとは
その時は思いもよらなかった。
『もしかしたら私たちの行動がバレてる?』
隣の男は
再びカーテンを捲って
こちらの座席に潜り込みたそうにしたが
真由美が「もうお遊びはお仕舞いよ」と
冷たくいい放つと「ちぇっ!」と舌打ちをして
自分の席でおとなしくなった。
バスの運転手の白山は
大人げないなと
自分で自分を戒めていた。
お客さん同士が仲良くなろうが
知ったこっちゃないのに
あそこまで露骨にイチャイチャされると
なんだか無性にむしゃくしゃしてしまう。
『あんたらがカーテンの中で何をしてたか
こちらには丸見えなんだよ!』
いや、実際に見えていた訳ではない
白山は自慢するほど鼻がよくきく。
トイレ休憩に行くとバスを降りるときに
女の体からとてつもなく淫らな匂いを感じた。
20分後の発車間際に乗り込んできた時は
さらにいやらしい匂いがきつくなっていた。
『畜生!お前らだけいい思いをしやがって!』
安全運転なんてクソくらえだ!
ムラムラした気分を吹き払うかのように
白山はアクセルを踏む足に力を込めた。