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保険外交員の営業痴態
第11章 ドライバー 白山広大

「白山さん…暖かい…」

火照った体の温もりを求めて
城崎陽子はさらに体を密着させてくる。

「城崎さんは今日が最後の添乗ですよね?」

黙っていると妙な気分になってくるので
白山はさりげなくそんな話題を口にした。

「そうなんです…
明日からどうしましょう…
私、この仕事しか知らないし
他の仕事が出来るかしら」

そう、彼女はリストラされるのだ。

ベテランのバスガイドの方が機転が利くので
運転手としては
城崎陽子のような熟練者がいいのだが
乗客からしてみれば
若いバスガイドの方が華やかなので
城崎陽子のようなベテランはお払い箱になった。

「こんなおばちゃんですものね…
仕方ないか…」

「城崎さんはおばさんなんかじゃないですよ!」

「慰めてくれなくてもいいのよ」

慰めでもなんでもなかった。
嗅覚の鋭い白山は
城崎から仄かに匂う上質な女の匂いに
クラクラし始めていた。

「白山さんは運転も上手だし
バスガイドの間では人気があるんですよ」

「またまたぁ~、煽てても何も出ませんよ」

「何も出ないの?
私が頑張ったら男の白い汁が出るかしら?」

そう言って城崎さんは
白山さんの肩に頭を乗せてきた。

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