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保険外交員の営業痴態
第12章 実家にて…

風呂からあがってサッパリして
ドライヤーで髪を乾かしていると

「おばちゃん、真由美が帰ってきたんだって?」
と大きな声がした。

『誰よ!人を呼び捨てにして!』

ダサいジャージの部屋着を着て
リビングに向かうと
一人のカッコいい青年がソファに座っていた。

「まあ!お客さんの前でみっともない!」

母が驚いた声を上げた。

「かまいませんよ
客ってほどの人間じゃありませんから」

そう言って青年は真由美の姿を繁々と眺め
「真由美、お帰り」と微笑んだ。

「えっと…どちらさん?」

知り合いに、こんなカッコいい人がいたかしら?

「覚えてないのかよ?
俺だよ、進一だよ」

名乗られて、隣の進一にいちゃんだと気づいた。

お隣の進一にいちゃんとは幼馴染みで
小さい頃、よく一緒に遊んでもらった。

真由美が高校生になる前に
進一は他県の大学に進学するとかで
家を出ていったので
かれこれ会うのは7年ぶりだ。

男って…7年も会わなきゃ、
こうも見違えるものなのかしら

それは進一とて同じようで
しばらく会わないうちに
真由美は綺麗になったなあと
ほんの少しだけ頬を染めてくれた。

「進ちゃん、今夜はうちで食べない?
おばさん、少し料理を多く作っちゃったから」

その方が真由美も喜ぶはずよと
母は真由美を見つめて意味深に微笑んだ。

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