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保険外交員の営業痴態
第12章 実家にて…

「真由美と飯を食うなんて
ホントに久しぶりだから嬉しいよ」

なんせ、おばさんの手料理は天下一品だしな、と
大人になった進一は社交辞令も身につけていた。

母は、そんな進一を我が子のように
ニコニコと微笑んで見つめていた。

『はは~ん、わかったわよ
お母さんったら
進一にいちゃんと私を
くっつけようとしているのね?』

母はなにも言わないけれど
こればかりは女の勘で
母の企みが手に取るようにわかった。

その証拠に
夕食のテーブルでは
真由美と進一を向かい合わせに座らせて
真由美に「進ちゃんに料理を取り分けてあげなさい」とか「ほら、真由美、進ちゃんにビールをついであげなさい」と事細かに指図した。


食後、進一にいちゃんと父が
いつまでも呑んでいるので
長距離移動で疲れがピークの真由美は
「私、先に休ませてもらいますから」と
何か言いたげな母を尻目に
さっさと二階の自分の部屋へ退散した。


自分の部屋のベッドに潜り込んでも
体は疲れているのに、なかなか寝付けない。

『昨日から色々あったなあ…』

バスで隣に座った男性は
どの辺りを観光しているのかしら…
バスの運転手さんは
今頃は復路の運転をしているのね…
電車の男の子、
パンツの中に射精しちゃって大丈夫だったかしら…

三者三様というか
どれも皆、私を満足させてもらえなかったわ。

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