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保険外交員の営業痴態
第2章 ターゲット

「こんな時にお客さんなんか
来るはずもないよねえ~
これなら俺一人でOKだったよね。
ほんとごめんねえ」

そう言いながら店長の天野が
入口のドアに鍵をかけた。

そして『臨時休業』のプレートをドアに貼ると
看板の電源を落とした。

「どうせ客なんか来ないし、
次の商品搬入までひと休みしましょう」と
言いながら
真由美の腕を取ってバックヤードに連れ込んだ。

「え?いいんですか店長」

いいの、いいの。
あ、心配しなくても
バイト代はちゃんと支払うからね。

バックヤードで売り物の缶コーヒーを
二つ手にすると、
その一つを真由美に差し出した。

「あ、すいません…」

慌ててポケットから
小銭入れを取り出そうとしたら、

「いいの、いいの。サービスだから」と
優しく微笑んだ。


ところで、なにか悩み事でも?

コーヒーを一口飲んで落ち着くと
天野は真由美に問いかけた。

「え?」

「隠してもムダだよ。
こうみえても、ちゃ~んと真由美ちゃんが
いつもと違うってことに気づいてるんだからね」


いた!!
既婚だけれど、
金回りもさほどよくないけど
女にあまりモテそうもない容姿の男が!!


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