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保険外交員の営業痴態
第6章 准教授の前田

ゼミの講義室前に着くと、
一枚の張り紙がしてあった。

「台風の影響の為、休講」

え~!そんなの聞いてないよぉ!

コメディアンのギャグを
心の中でおもいっきり叫んだ。

「やあ、君も連絡が届かずに
やって来たんだね?」

声のする方を振り返ると
講師の前田准教授がニコニコしながら立っていた。

「いやぁ、台風の影響で電車のダイヤが
朝からめちゃくちゃ乱れていてね
大学に来れないという学生が多くてね
それならば休講にしちゃおうと決めたんですよ」

学生たちには
休講の連絡メールを送信したんですが…

前田の言葉を受けて
真由美はスマホをチェックした。

受信していた!
『ゼミからのお知らせ』という件名で
1通のメールを受信していたのを見落としていた。

「なんだか昨日からツイてないわ」

あまりにも真由美の顔に落胆の色が浮かんだのか
「良ければお茶しますか?」と
前田准教授が誘ってきた。

前田は学生達に絶大な人気があった。

ルックスも申し分ないし
何よりも学生達を可愛がってくれた。

学生達がカラオケに誘うと
資金提供もしてくれるし
何よりも歌が上手で女子たちは
密かに前田に想いを寄せる子もいた。

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