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保険外交員の営業痴態
第6章 准教授の前田
「やりますよ」
真由美は毅然と言い放った。
「えっ?…えっ?」
前田准教授は
二度見するかのように
驚きの声を二度あげた。
「やりますよって…君…」
「学費と生活費の為なんです
このままだと私、大学を辞めて
帰郷しないといけなくなるんですもの」
揺るぎない決意を表明するかのように
真由美はキッと前田を見つめてそう言った。
「いや…そこまで深刻に考えなくとも…
ほら、奨学金制度とかあるしさあ…」
「よほどの学力でなければ
援助してもらえませんよね?
私たち普通の学生の奨学金制度は
いわゆる借金ですよね?
私、そういうのイヤなんです」
前田が淹れてくれたコーヒーは
いつしか冷めていた。
真由美はそれをグビッと飲み干すと
「それでは私、帰ります」と席を立った。
「あ、ちょ、ちょっと待ちたまえ!」
前田は立ち去ろうとする真由美の腕を掴んで
帰さないよとばかりに
グッと引き寄せた。
「少額の保険でも…
その…なんというか…
世間一般の噂のような営業活動を…
私にもしていただけるのかな?」
「えっ?」
今度は真由美が驚きの声をあげた。
真由美の腕を掴む前田の握力が
ガッと力強くなった。