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黒い瞳
第3章 淳子~6歳~
家事をするにも鼻歌まじりで、
淳子によく冗談を飛ばしては一人で笑っていた。
そしてなによりも、母の匂いが変わった。
夜のお勤めに合わせ、かなりきつい香りのする香水をつけていたのが、
いつしか、甘いやさしい香りになった。
この香りはね、 今度お家にやってくるおじさんが、とても好きな香りなんだよ。
お母ちゃんにはこの匂いが絶対に似合うからと
おじさんがお母ちゃんのために買ってくれたのよと、母は嬉しそうに話してくれた。
そして、ついに土曜日がやってきた。
母はいつもなら、お昼すぎまで起きてこないのに、
その日は朝から起きだし、
洗濯も掃除も済ませてしまった。
お昼からは、「淳子、買い物にいくよ」と言って、百貨店へ連れていってくれた。
淳子におしゃれな服を買い与え、
母はすごく小さな下着を買った。
「おかあちゃん、今夜、お仕事は?」
問いかけた淳子に母は、
「今日はすごく大事な日だもの、
お休みをもらったのよ」と話してくれた。
お肉屋さんと八百屋さんと酒屋さんを回り、
たくさんの食材とビールとジュースを買い求め、 夕方近くには、食卓に食べきれないほどの料理が並んだ。
食事の用意をすませ、
淳子に買ったばかりの服に着替えさせ、
母はいつもより念入りにお化粧をして、
小さな下着を身に着けた。