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黒い瞳
第3章 淳子~6歳~

淳子は悲鳴こそあげなかったものの、
とても恐ろしくて、 あわてて目をそらして座布団の寝床に逃げ込んだ。

八神は土曜になると淳子の家にやってきては、
夜毎、猛々しい角(つの)を母に突き刺すのだった。


あんなに太い角(つの)に突き刺さられて、
母のお股は大丈夫なのだろうか?と
心配するものの、 そういう行為をした翌日に限って母は上機嫌だった。


ある土曜の夜のこと。
いつものように八神はやってきたが、
母の機嫌はあまりよくなかった。

食事を済ませ、銭湯へ行く時間になったときに、
母は淳子に言った。

「お母さんは今夜、生理だから
お風呂屋さんには行けないのよ。
八神のおじさんにお願いしてあるから今夜はおじさんに連れてってもらいなさい」

おかあちゃんがお風呂に入らないのなら、
淳子も今夜はお風呂に入らない。
そう言ってみたが、

汗をたくさんかいたでしょ?
お風呂に入らなきゃバイキンだらけになってしまうわよ。

そう言われ渋々八神と連れ立って銭湯へ行った。


銭湯へ行く道中、
母と行くときは饒舌な八神であったが、
淳子と二人っきりだとめっぽう寡黙であった。

淳子もまた、お風呂屋さんで
あの太い角(つの)で お股を突かれたらどうしようと恐れ、何も話せないでいた。


淳子にとって、初めての男湯は不思議な光景だった。
洗い場や湯船が、
女湯とまるっきり左右逆の位置になっていたからだ。

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