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黒い瞳
第6章 淳子~18歳~
「それは、源氏名でしょう?本名は?」

若林は執拗に淳子の本名を知りたがった。

だ~め。教えない。
もっと、もっとお店に顔をだしてくれたら教えるわ。

淳子はそう言って営業スマイルではなく、
なぜかこの男には自然な笑みで接していた。

若林は非番の日には必ず店に顔をだした。

ついに淳子は根負けしてしまった。


「私の本名は淳子」

「淳子かあ・・・いい名だ。
どうだろう、本名を教えてくれた記念日として、 この後、寿司でもつまみにいかないかい」

えっ?アフターのお誘い?

「こんな、おじさんが相手だといやかな?」

「いいえ、とんでもない。お付き合いさせていただきますわ」


淳子は思いがけず胸がときめいた。

アフターは何度も経験してる。
指名してくれて、お金を落としてくれる客には体も許した。

そう、何人もの男が私を抱いた。

そうやって淳子はトップになったのだから。

だが今回は違う。

胸がときめくのだ。

若林のバリトンの声・・・。

均整のとれた引き締まった体躯・・・。

刑事らしからぬ甘いマスク・・・。


淳子は若林に惚れてしまったのかもしれない。


淳子はその夜、若林に抱かれた。

若林は淳子をやさしく扱ってくれた。

今までアフターをしたあと、
男に抱かれることはあっても心は許さなかった。


ビジネスとして割り切った。
だが、若林と共にした一夜は別だった。
すばらしい一夜であった。

淳子は、若林に惚れていることを確信した。
その後もアフターを重ね、何度も愛し合った。

それはアフターというよりも、
深夜のデートといっても過言ではなかった。

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