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黒い瞳
第7章 淳子~19歳~
淳子は隣の小さなベッドで、
すやすやと眠っている由紀子を 飽きることなく愛しそうな眼差しでみつめていた。
母も私を産んだときに、
こうしてみつめてくれていたのかしら。
そう思うとなんだか心が温かくなった。
『早く健太来ないかしら・・・ 女の子と知ったそのときの顔が見ものだわ。うふふ・・』
健太には署の方へ義母が連絡してくれているはず・・・
まだ来ないところをみると、
事件の解決が遅れているのかもしれない。
そう思う反面、なんだか胸騒ぎがする・・
由紀子を産み落とした瞬間、
『淳子・・・ゴメン・・』という健太の声が聞こえた気がしたからだ。
出産の一報を聞き、
駆けつけてくれた義父の顔色も悪かった。
『おめでとう・・かわいい孫を産んでくれて本当にありがとう・・ 健太も喜んでいるはずだ・・・』
そういって涙ぐんだ義父。
あの涙は歓喜のあまり流した涙ではなかった気がする。
まるで悲しみの涙・・・
「ばかね淳子、なに変なこと考えてるの」
声に出し自分で自分の胸騒ぎを打ち消してみた。