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黒い瞳
第8章 淳子~20歳~

とにかく、ドラッグが欲しかった。

他のことは何も考えられなくなってきていた。

やがて、フロアに大量の蟻が這うようになった。

もちろんドラッグが見せる幻覚症状なのだが、
淳子にはそれがはっきりと見えるのだ。

蟻が蠢くのが気になり、

1日中、掃除機をかける日もあった。


由紀子の育児も疎かになり始めた。
由紀子の発育も悪くなり、やせ細って来だした。


順平は、狂ったように掃除を続ける淳子と、
衰弱していく由紀子を見てはケラケラと笑った。


夜になれば、二人は獣のようなSEXをした。

ドラッグの服用は1錠から2錠、
2錠から3錠へと次第に増えていった。

淳子の部屋でSEXをしても、

由紀子は泣かなくなった。

泣く力もないほど衰弱しだしたのだ。

順平に跨り、淳子は一心不乱に腰をグラインドさせた。

「もっとよ!もっと下から突き上げなさいよ!」

「はあ・・・はあ・・・・こうかい?」

順平は白目をむきながら、淳子の要望に応えた。


しかしやがて「うううう・・・」と呻き声を発したかと思うと、
順平は動かなくなり、男性自身が一気に萎んだ。


「順平!なにしてんのよ!早く勃たせなさいよ!」


淳子の罵声にも応えず、
順平は目をカッと見開き、口から泡を吹いていた。

「順平?」

順平は呼吸さえしていなかった。
ドラッグの多乗摂取による心不全で命を落としたのだった。


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