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いろはにほへと~色は匂えど~
第4章 月謝は体で
そうこうしているうちに
寺の鐘が八つ(3時)を告げた。
「今日はここまで」
そう告げて片付けをしていると
お吉が泣きそうな顔で近づいてきた。
どうした?と尋ねると
「今晩、おめこできんようになった…」と言うではないか。
「なにか用事でもできたか?」
「違うねん、来てしもてん…」
そう言いながらお吉は握りしめた綿花を見せた。
「月のモノか…それは致し方ないではないか」
そう諭すとしょんぼりしながら帰っていった。
さて、4,5人の童が
まだ帰らずにお堂の片隅で
ギャアギャア喋っていた。
何を話してるのかと聞き耳を立てると…
「与作、あんた、おめこって知ってるか?」
お吉についで年長のお民というおなごが
まだまだ幼い与作をからかっているようだった。
「わし、知ってるで!女のお股のことやろ?」
「そこもおめこって言うけど
ややこを作る事をおめこって言うんよ。
男のおちんちんを
女のおめこにくっつけるとややこができるんよ」
やや違うが遠からずと言うところかな…
そんなやりとりをほほえましく眺めていると
「先生様、ほんまか?
お民の言うことはほんまか?」と
与作が食い下がってきた。
「お前が元服したら教えてやろう。
お民、与作に教えるにはまだ早いと思うぞ。
さあ、夕刻になるぞ。だからもう帰れ」
そう言って帰宅を促した。