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いろはにほへと~色は匂えど~
第6章 お吉との別れ
そのように意中の女と思っていたお吉に
城内腰元として召しかかえられることが決まった。
どうやら殿が村を視察に参った時に
見初められたようなのだ。
そのことを告げにお堂に来たお吉は
さめざめと泣いた。
「何を泣くことがある…
目出度い話ではないか殿の寵愛を受け、
気に入られれば
側室にまで登り詰める事が出来よう。
おなごとして最も幸せな事ではないか」
「うちは…先生様と所帯が持ちたかった…」
「それは拙者としても同じ事…
言えなんだが、わしはお前を好いておった」
「嬉しい…せめて最後におめこして…」
入城してしまえば、
城から出ることは許されず、
もう逢うことは叶うまい…
ならば今生の別れに
一晩中でもお吉を抱こうと思った。
二人は無言で帯を解き、
着物を脱いで裸になった。
何度も眺めたお吉の裸体ではあるが、
今宵は一層まばゆくみえた。
「策ノ進さま…」
お吉は初めて策ノ進の名を呼び、
その胸に飛び込んだ。