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いろはにほへと~色は匂えど~
第8章 武道大会

『お吉か…逢いたいのぉ…』

翌日から策ノ進は自堕落な生活を改め、
早朝より木刀を振った。

いささか空白期間があったとはいえ、
その太刀さばきは
短期間で全盛期の腕を取り戻した。


当然の事ながら
村の予選では赤子の腕を捻るよりも簡単に
勝ち抜いた。

鍬や鎌しか持ったことのない百姓相手なのだから
至極当然の結果だった。


村の代表として
他所の村の一番手ともやり合ったが
策ノ進を一歩たりとも後ろに引かす事が出来る猛者などいなかった。

かくして策ノ進は城下の代表として
晴れて城内に足を踏み入れたのだった。




浪人の身ゆえに
城内では見窄らしい姿に皆から嘲笑されたが
そんなものは苦にならなかった。

笑う者を見据える事もなく、
策ノ進の眼(まなこ)はお吉の姿を探し求めた。


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