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いろはにほへと~色は匂えど~
第9章 お吉を奪い返す
「では…お恐れながら…
お吉と申す腰元を嫁に頂戴しとうございます」
たちまち藩士達の顔色が変わった。
召し抱えた腰元を奪うというのだから
当然であった。
いい気になりおって!と、
藩士達は腰の真剣に手をかけた。
「静まれい!わしが何でも良いと申したのじゃ!
武士に二言はござらん!
お吉と申す者、ここに!」
大海の水が割れるがごとく、
人垣が左右に分かれ、
お吉が静々と策ノ進の元に歩み寄った。
「例外ではあるが、
わしが宣言したのだから
これもまた致し方あるまい。
お吉、そなたに腰元としての暇(いとま)を申しつける
策ノ進とやら…
とっととその女を連れて城から出て行かれよ!」
策ノ進とお吉は共に土下座して
殿様の心の広さに感謝した。