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いろはにほへと~色は匂えど~
第2章 寺子屋
「うち、まだおぼこ(処女)やけど、
あんたとやったら契りをしてもええで…」
なんと言うことだ。
おぼこの女にここまで言わせてしまうとは…
だが契りという言葉は重すぎる…
求愛されても夫婦となって
彼女を養えるわけなどなかった。
「あっ!求愛とちゃうで!
うちはただ単に男と女の契り…
つまり、おめこをして
うちを破瓜(ロストバージン)してほしいだけやねん」
策ノ進の困り果てた顔を見て、
お吉が慌てて言い換えた。
破瓜させる責任だって
男にしてみれば大層に腹を決めねばならぬ。
西洋人と違い、
日本男子はそう言うことに律儀なのだ。
「破瓜させへんように指一本だけでもええねん
うち、男を相手に気持ちええ事がしたいねん」
うら若き乙女に
ここまで言わせては
策ノ進としても引くに引けない。
ではこちらへ参れと
お吉の手を取りお堂の奥の寝間に連れていった。
「うち、こっそり父の艶本を
読んだことがあるねん…
おなごも男も
すっごく気持ちええと書いてあったわ…
そやからうち、辛抱堪らんねん」
多少なりとも字が読めるお吉は
艶本の文章を読んで好奇心を芽生えさせていた。