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濡れるハイスクール
第2章 学園長 林芙美子
「大井崎先生ぇ~、
雇用条件を忘れていないでしょうね」
近くのメンバーが
手洗いに席を立ったのを見計らって
芙美子は大井崎にそう言った。
「はい…忘れていません…」
谷底へ突き落とされたような気持ちになって
酔いがすっかり抜けてしまった。
そんなタイミングで
「では、お開きにしましょう」と
教頭が音頭をとり始めた。
なにやらこの後、
カラオケルームを予約してあるのだとか…
「学園長。
もちろん学園長も
来ていただけるんでしょうな?」
ゆでダコのように真っ赤な顔をした教頭が
芙美子を誘いに来た。
「ごめんなさい…
私、どうやら悪酔いしちゃったみたいで
帰らせてもらうわ」
「ではタクシーを呼びますから、
僭越ながら私、送らせていただきます」
「気を使わないで。
あなたは二次会の幹事でしょ?
さっきも話していたんだけど、
大井崎先生が帰る方角が同じなので
送ってくださるようなの」
ねえ、先生。そうよね?
学園長にそう言われたら従うしかあるまい…
「はあ。まあ、そうでしたね」
俺も歓迎会の主賓の一員だろ?
ここは何が何でも
俺を二次会に連れて行くと言ってくれ。
そんな期待を込めて教頭の顔を見つめたが
「それなら大井崎先生、頼みましたよ」と
あっさりと彼を突き放した。