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女優
第12章 愛子の人生
最後に全裸になって温泉浴衣を羽織る。
姿見の鏡で自分の姿を映して
最終チェックをしてみる。
我ながらいい女だと思う。
男優に抱かれる仕事でなければ
どこに出ても恥ずかしくない女と自負している。
そう…この仕事さえしていなければ
近藤から付き合って欲しいと言われたとき、
二つ返事で快諾する事さえできたのに…
アイドルから一線を後にしてから
愛子の人生は大きく方向転換した。
軽妙な受け答えが出来る才能があれば
バラエティ番組からお呼びがかかっただろうが、
根が生真面目な愛子は
万人向けする笑いのとれるコメントが出来なかった。
『これが私の生き方…』
鏡の中の自分をキッと睨んで
愛子は大浴場に向かった。
愛子が大浴場に到着すると
スタッフの野郎三人は湯桶に張った湯に
ドライアイスを放り混んで
模造の湯気を仕掛けていた。
「冬場なら自然な湯気で
情緒が溢れるんだけどね~」
湿度が高いのだろう、
一糸まとわぬ三人の野郎の背中には
玉のような汗が噴き出していた。