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女優
第2章 いざ本番
『さ、触られた!!』
羞恥よりも怒りがこみ上げた。
抗議の声を発する前に男優が
「監督、こりゃダメだわ~、全然濡れてねえわ」
と首を振った。
「じゃあ、シーン69を撮りましょうか、
それなら一石二鳥だし」と言いながら、
カメラマンさん、そういうことで
よろしく~と叫んだ。
「ち、ちょっと待ってください。
今日の撮影でシーンで106とか
69ってなかったじゃないですか!」
「それがあるのさ」
男優は自信たっぷりに言った。
「台本を!台本をちょうだい!」
臼杵に台本を要求した。
そして手渡されたのがペラペラの小冊子…
「な、なにこれ?」
それが今回の台本です、と監督が言った。
この映画に出演するかどうか決めるのに
読んだ台本と違っていた。
「ど、どういうことなの?」
台本のタイトルを見て愕然とした。
【わたし、ヤっちゃいます~元アイドルがマジで本番~】
ハメられた?
恋愛映画どころか、
このタイトルはAVそのもの!
「そういうことです」
臼杵が感情を押し殺して言った。
「あんたを売るために
今までにどれ程の金額をつぎ込んだか
知る由もないでしょうね」
アイドルとして育ててくれたことには感謝している。
だが、数々のヒットを飛ばし、
充分利益還元は済ませてるはずだ。