この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女優
第5章 メイク担当の男
「おっ、いい色のスカートだね」
聡はおニューのスカートに目を留め誉めてくれた。
普段から裸を商売にしている愛子にしてみれば
おっぱいやお尻をスタッフから
誉められる事はあってもこうして私服を
誉めてもらえる事が少なかったので、
何故かその言葉が新鮮で嬉しかった。
「ありがとう。
先日のお休みの時に買ってきたおニューなの」
「買い物とかよくされるんですか?」
「ええ、渋谷とかによく行きますよ」
「でも顔が売れてるから
出歩いたりするの大変でしょう」
さあ、ここへ座ってと
聡が椅子を引いてくれながら
気さくに話してくれた。
数年前までは
アイドルグループの一員ではあったが、
大所帯のグループだったので
愛子の顔を知ってるなんて
ほんとにコアなファンだけだった。
AVでそこそこ売れても
街角で声を掛けられるなんてほとんどなかった。
「ほんとに?俺なら、あ!仁科愛子だ!と
一目でわかるけどなあ」
「またまた~」
「ほんとですよ、
俺、貴女がアイドルでデビューしたときから
ずっとファンでしたから…」
単なるリップサービスかと思いきや、
聡は小さな声でデビュー曲を口ずさみ始めた。