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女優
第9章 温泉ルポ
けっこう長い時間、湯に浸かっているので
愛子はクラクラしてきた。
『やだ…湯あたりしちゃう…』
もう限界だった。
監督に白旗を上げて
湯から上がろうとしたその時、
数人の男達が大浴場に入ってきた。
マネージャーが大慌てでその男たちに近寄り、
「すいませ~ん、温泉ロケの撮影中で~す」
と断りをいれた。
「かまわん!まだリハーサルだ。
気にせずに入浴してもらっていいぞ」
監督が引き返そうとする客を引き止めた。
客達もタダで女の裸を見れるというので
いそいそと湯船に飛び込んだ。
「おねえちゃん、お仕事で
ひとっ風呂浴びるなんざ
いい商売だねえ」
一人のオヤジが気軽に声を掛けてきた。
「あの…こっちって女湯じゃないんですか?」
素直な疑問を投げかけた。
「おや?知らなかったのかい?
この宿は混浴なんだよ~」
もう一人の40代の男が答えてくれた。
『混浴…』
そうなの?という眼差しを
マネージャーに投げかけると
「愛子ちゃんに言ってなかったっけ?」
と白々しく答えた。