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女優
第2章 いざ本番
「なんでもいいから早くしてくれよ、
せっかく役に入りかけてんのに
気分が削がれちまうぜ」
男優が愛子を急かせた。
見てらっしゃい!
私とラブシーンをして
私に惚れさせてあげるわ
愛子はいつもより念入りに化粧をした。
シーン12 テイク1
男:「お前と愛し合うのも今日が最後だな」
男はそう言って女にキスをしようと顔を近づける
女は男の唇の進行を人指し指でストップをかける
女:「今日が最後だなんて言わないで」
しばらく見つめ合う二人…
「今日が最後だなんて言わないで」
愛子がそのセリフを発したとたん、
男は堪えきれずに
「ぶわっははは~」と吹き出した。
「お前さあ、大根にもほどがあるぜ」
まるで棒読みじゃないか、と
ベッドの上で腹を抱えて笑った。
その後、テイク7まで撮り直したが、
やはり男が吹き出してしまい、
監督の「カット!OK!」の声は
発せられる事がなかった。
ついには監督の口から
「男優さん、彼女の台詞はアフレコで
なんとかするからさあ、
吹き出さずに我慢してくれないか」
と苦肉の策まで飛び出した。
その後、なんとかそのシーンを撮り終え、
次のシーンを撮るまで少し休憩することとなった。
そそくさとベッドから抜け出そうとした愛子の腕を 男が握りベッドに引き戻した。