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猫探偵の恋
第1章 ライブハウスで会いましょう by海
学生時代からライブハウスは好きだった。

誰も周りの他の客のことなんて気にしてない。
ステージに立つお目当てのアーティストに夢中になってる。
お酒を飲みながら、
歌ったり踊ったりしてても誰も見たりしない。
だって、みんなもおんなじだから。

煙草臭いのはキツイから、
本当に1〜2バンドだけ聴いて、
サッと帰る。

帰りに飲み足りないこともあるから、
ショットバーでガッと立ち飲みすることもある。

で、そのまま、機嫌良く歌いながら歩いて帰るのが、
いつものパターン。


だから、ノリが良いバンドが好きで、
まさか、そんなバンドを聴くようになるとは思わなかった。


初めて彼の聴いたのは、
別のバンドを聴きに行って、
激しく踊りながらフラフラになって、
クールダウンしようとバーカウンターに座ってた時だった。


シンプルなメロディーラインに、
丁寧な歌詞を載せて、
艶やかな声で歌っていた姿に、
正直、ゾクっとした。

声に一目惚れしたんだと思う。


スツールの上で身体を捩って、
最後の曲まで聴いた。
涙が溢れてくるのにも気づかないくらいだった。


演奏終わって、
物販ブースに戻るのを探して、
自分達で焼いて、
ジャケットもコピーして切った紙を入れてるだけのCDを買った。


「ありがとうございます」と、
見つめられて両手で握手をされた瞬間、
色々な映像がフラッシュバックした気がして、
髪の毛が逆立って、
全ての毛穴が開いたようになった。


私、物凄く間抜けな顔をしていたかもしれない。


「あの…良かったらこれ…」
と、ライブの日程が入ったチラシを隣に立ってるギターのコが渡そうとしてるけど、
2人とも握り合った手を離さずにいた。


「おいおい、洋平。
手を離せよ?
いつまで握ってるんだよ」と、
更にギターのコが言うので、
慌ててボーカルのコは手を離した。


「あの…名前、訊いても良いですか?」


「また来ます」
私はばね仕掛けの人形のように、
ぴょこんと頭を下げて、
慌ててCDを握り締めて踵を返してドアに向かった。
何度もヒトにぶつかりながら外に出て、
立ち止まってホッと溜息をついた。
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