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陽炎日記
第2章 麻友子
 矯声を上げながら悶え髪を振り乱す麻友子の狂態に運ちゃんは気も漫ろだ。ハンドル操作が疎かになり少し蛇行気味になる。不味いな。このままじゃ事故るぞ。内心ヒヤリとしたが後続車からの激しいクラクションで運ちゃんは正気に戻ったようで両手でハンドルを握り直す。
 これ以上は命に関わるな。俺は脳内地図を開いて近辺を検索し一件のホテルをピックアップした。
 数分後俺のナビに従って走ったタクシーはホテルの地下駐車場に止まった。メーターは三千円程だったが運ちゃんには一万円札を握らせた。商売道具をラブホ代わりに使った詫び賃だ。恐縮した運ちゃんが差し出した名刺を財布に仕舞い半裸の麻友子を伴って薄暗い駐車場に降り立った。
 名残惜しそうにいつまでも走り出さないタクシーのヘッドライトに照らされながら人気のない駐車場から明るいエレベーターホールに入る。ここは一階がフロントになるが地下のエレベーターホールからでも部屋が選べる様になっている。俺は麻友子の剥き出しの乳房を揉みながら適当に釦を押して部屋を選び降りてきたエレベーターに乗り込むと部屋の在る4階を選ぶ。ゆっくり上昇するゴンドラの中で小梅の様な麻友子の乳首を弄んでいると麻友子の手が俺の股間に伸びてズボンの中で窮屈している愚息を撫でながら熱い息を吐く。
 「おっきい。」
 思わず口を突いた感嘆の声に心の中で「知ってる」と呟く。今まで何十人も啼かせてきた凶器だ。
 これをどうやって麻友子に挿入てやろうかとプランを練っているとゴンドラが止まった。4階に到着だ。ドアが開くとカップルが一組立っていた。情事の残り香が漂ってきそうな二人は半裸の麻友子を見て一瞬目を見開いたが直ぐに何もなかった風を装う。様々な性的嗜好の持ち主が利用するSMホテル、スレイブの巣。このホテルでは他者の行動は見ざる言わざる聞かざるが暗黙のルールになっている。
 慌てて胸を隠そうとする麻友子を無視して俺とカップルは会釈だけ交わしてすれ違う。背後でエレベーターのドアが閉まるのを感じながら麻友子の尻を叩く。
 「こんな所で騒ぐな!俺に恥をかかせるつもりか!」
 突然のスパンキングと叱責に麻友子は身震いしながら俺を見上げてくる。
 どうやら俺は勘違いしていたようだ。こいつは露出狂ではなくて痛みや屈辱を悦ぶドM女だったようだ。
 「ごめんなさい。許して。」
 
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