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見えない男の淫乱物語
第9章 明人先輩

あまりにもしっかりと抱きついてきたものだから
その豊満な乳房の柔らかさが明人の胸に伝わった。
こんな状況でなければ
柔らかそうな唇に己の唇を重ねて
ハードにキスをしたいところだが
そうも言ってられない。
「この液体のガスを吸ったんだね?」
実験台の上に
ポツンと置かれているフラスコを指差しながら
聖子に尋ねた。
「ええ、そうよ。そこからガスが漏れていて…」
中身は何だろうと、
明人は実験台の上に無造作に置かれているメモを
片っ端から読み漁った。
『先生は一体
何を合成しようとしていたんだろう…』
そしてある一つの構造式に目が止まった。
「これって…サリンじゃないのか?!」
よくよく見てみると
ほんの少しだけ違うということに気づいた。
『どうしてこんなものを?…』
サリンのように殺傷能力の高い劇薬ではないにせよ
おそらく遺伝子に作用するに違いない。
聖子のように少量を浴びただけで
色素を破壊するのだから大量に浴びれば
体を形成するすべての細胞が
蒸発してしまうに違いない。
「堀越。PCを貸してくれ」
すがるような視線を送り続ける聖子に
明人は指示を出した。

