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兄と妹~本能のおもむくままに~
第3章 兄への恋心
「美穂!俺たちは兄妹なんだよ
こんなこと許される訳ないじゃないか」
この言葉に美穂はショックを受けた。
「どうしてもダメ?…
じゃあ、せめてキスして」
そうおねだりすると、
仕方のない奴だなと苦笑して
チュッと軽く唇を重ねてくれた。
「はい、もう終わり!
お前も早く寝ないと明日の朝起きれないぞ」
そう言って布団を被った。
それはまるで
美穂を拒絶するかのような行為だった。
『お兄ちゃんの意地悪!』
そう、拒絶されたあの日からずっと
美穂は啓司を思い続けている。
その日から暫くして兄の啓司が
明美という女を連れてきた。
「美穂、俺、彼女と結婚することにした」
聞けば彼女は同じ職場の後輩で
同じくご両親を
早くに亡くされたということだった。
「俺たち、よく似た境遇だから
きっと上手くやっていけると思うんだ」
兄はそう言ったが
美穂という女が身近に居たのに
別の女を選んだことが悔しかった。
それ以上に明美という女が
自分から兄を寝取った泥棒猫のように思った。
回想を終えるかのように
美穂はそっとアルバムを閉じた。
気づけば部屋は暗くなっていた。
夕刻が過ぎ、夜が始まろうとしていた。