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夜の蝶の物語
第6章 エピローグ
夜8時ちょうどに坂口は迎えに来た。
連れ立って歩くと、
過去に一度だけ訪問した
例のマンションに
向かっていることに気づいた。
「あの…夕食はご自宅で?」
ええ、そうです。デリバリーを頼んでます。
家の方が落ち着くかなと思って…
坂口は軽くそう言うが、
恵美は例の汚い部屋を思い出し、
一気に食欲がなくなった。
しかし、予想に反して
部屋は綺麗に整理整頓され、
掃除も行き届いていた。
「雰囲気…変わりましたね」
恵美がそう言うと
「貴女に仕事を頼んだときが
僕の最悪な時代でしたし…」
話を聞けば、
坂口はコンピューターのプログラマーだそうで
仕事に行き詰まってむしゃくしゃしていて
鬱憤ばらしに
デリヘルを頼んだということだった。
「さあ、こっちのテーブルへどうぞ」
招かれたテーブルには
見事なフランス料理が並べられていた。
「デリバリーと言っても
捨てたもんじゃないでしょ」
皿のロゴマークを見て恵美は驚いた。
なんと一流レストランの
ロゴマークだったからだ。