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女流作家~君を愛すればこそ~
第12章 魔性の女

「帰って!」
顔もあげずに突っ伏したまま
桐子は節子に帰れと命じた。

「先生…先日はごめんなさい…
でも信じて、決して私から迫った訳じゃないのよ」

「そうかもしれないけれど
結局は受け入れたんじゃない!
よくヌケヌケとここへ来れたわね!
この泥棒猫!!」

ここまで言われると節子もカチンと頭にきた。

「先生!ご存じの通り私は同性愛者なんです!
男なんて興味ありません!
先生の旦那さんを寝取るとか、
そんなやましい気持ちなどないんです!」

「じゃあ、晃から襲ったって言うの?
しかも私が寝入っている隣で?
あなたも悲鳴ぐらいあげてもいいじゃない!
大声を出して私を起こせば良かったんじゃない?」

「私は…
私さえ我慢すれば先生を傷つけずに済むかと…」

「ああそうですか!
それならザーメンを拭いたティッシュの痕跡も
処理しておいてくれれば良かったのにね!
二人仲良く朝食など食べずに
逃げるように帰ってくれれば
少しはあなたに同情できたのにね!」

そのように罵倒して
節子の背を押して帰れ、帰れと連呼した。

わかりました!帰ります!
節子はドアを荒々しく閉めて部屋を飛び出した。

『何よ!あの女!
一発ぐらい寝取っても
笑って許せる度量もないんだから!』

こうなれば絶対に晃を返してあげないと
鬼の形相で帰路についた。

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