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女流作家~君を愛すればこそ~
第5章 取材旅行へ
沈む太陽を追いかけるように
飛んでいた飛行機も
地球の自転速度に負けて
やがて夜を迎えて夜間飛行となった。
「先生、お疲れではありませんか?」
隣の席の城島女史が
桐子の体調を気づかってくれた。
「ええ、大丈夫です
それよりも取材旅行という
わがままを聞いてくれた上に
ファーストクラスだなんて申し訳ないわ」
そう恐縮すると
「いえ、良い作品を書いていただいて
しっかりと元を取り返させていただきますから」
とフランクに桐子の太ももに手を乗せた。
城島女史にしてみれば
スキンシップのつもりなのだろうが
やけにいやらしい触り方だったので
思わず桐子は鳥肌が立った。
一方、菱沼家では晃が
桐子の母である芳枝の手料理に
舌鼓を打っていた。
「いやあ、お義母さんは料理が上手ですね
こんど、作り方を教えてもらわないと」
いつもは控えるアルコールも
しこたま飲んで晃は上機嫌だった。
女性が身の回りの世話をしてくれるという
一般家庭の安らぎがそこにはあった。
食後、風呂の準備ができたから
入浴してくださいと義母の芳枝が勧めた。