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女流作家~君を愛すればこそ~
第8章 帰国

「ところであなた、今夜の夕飯は何かしら?」

いつの間にか夕刻となり
夕陽がリビングの窓から降り注いでいた。

「今夜は何も用意してませんよ
久しぶりだから
二人で外食をしようと思っていたから」

「長旅の帰国なんだから、
外出なんて億劫だと気づいてよ」

晃としては、
さっさと城島女史にお引き取り願おうと
外食を…と言ったのに、
まるで気が利かない男のように罵られた。

「それじゃあ、デリにしましょうよ
費用なら経費で落とせますし」

城島の提案に桐子も
「それ、いいですね」と乗り気だ。

いくら出張扱いとはいえ、
デリの費用など経費で落ちない。

桐子と結ばれたあの日のホテルのルームサービスも
結局は経費で落ちずに晃が自腹で支払った。

いや、城島女史ともなれば
経理部にも顔が利くので
もしかしたら本当に
経費で落ちるかもなと思ってしまった。


結局、一流ホテルのデリを城島女史が頼んだ。
さすがに一流ホテルだけあって
味は満点だった。

「あ、そうだ!ねえ、あなた、
私、お土産でイタリアワインを買ってきたの
みんなで呑みましょうよ」と
桐子が提案した。

「あの時のワインね」

城島女史が意味ありげに微笑んだ。

「僕はやめておきましょう。
酔うと城島さんを送れなくなる」

そう言うと
「あら、大丈夫よ
だって、節子さん今夜は
うちに泊まってもらうから」と
桐子はとんでもないことを言い出した。

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