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女流作家~君を愛すればこそ~
第8章 帰国
「えっ?」
晃は聞き間違いであって欲しいと
もう一度、桐子の顔を見た。
「泊まってもらうのよ。ねえ~」
桐子は城島女史に向かって微笑んだ。
「お邪魔でなければ…」
節子も桐子を見つめて微笑む。
まるで晃の都合など、
これっぽっちも考えていないようだった。
だが、世帯主は桐子だ。
彼女がそう言うのであれば
専業主夫の晃としては従うしかなかった。
夜遅くまでワインを呑みながら
桐子と節子はおしゃべりをしていた。
晃は付き合っていられないと
昨夜まで義母の芳枝が使っていた客間を
城島節子に使ってもらおうとベッドメイクをして
そそくさと入浴を済ませてベッドインした。
夜間に尿意を覚えて目を覚ました晃は
ソファで酔いつぶれている桐子に
毛布をかけてやった。
抱きかかえてベッドに連れていくのが
面倒だったのだ。
専業主夫に返ってみると、
昨夜までのいたりつくせりの芳枝が恋しくなる。
『妻としての自覚がないのかねえ…』
寝顔にキスをしてみたけれど
邪険に払い除けられた。
「俺はまだまだ男盛りなんだぜ」
爆睡の桐子に小さな声で愚痴を溢した。
さて、トイレを済ませて、もう一眠りするかと
リビングを出ると
風呂上がりの城島節子と出くわした。
メガネを外して洗い髪の節子の色気に
晃は内心ドキリとした。
おまけに誰もが就寝していると油断したのか
彼女は裸体にバスタオルを巻いただけの
姿だったのだ。