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キャンバスの華
第2章 女流画家
「ごめんください」
引き戸を開けて室内に向かって声をかけると
「今、手が離せないから勝手にあがってきて」と
返事が返ってきた。
女性の声だったから
画家先生の奥方かもしくは
女中さんかもしれない
次郎は声がした奥の間に足を進めた。
「お邪魔します」
声をかけて襖を開いて次郎は絶句した。
年若き乙女が一糸まとわぬ裸体でポーズをとり
こちらに正面を向いて静態していた。
「す、すいません!!」
顔から火が出る思いだった。
非を詫びて襖を閉めた。
「誰?なんの御用かしら?」
裸婦と対面している女性が
キャンバスに絵筆を走らせながら
次郎のことを見向きもせずにそう言った。
「あ、あの・・・・こちらに
画家先生がお住まいだとお聞きしたので
先生を訪ねてやってまいりました」
「私に?・・・・
どうぞ、遠慮せずに入ってらっしゃい」
次郎の予想に反して
師事したいと思っていた画家は女性だった 。
しかも次郎とは年齢も近い若い女性だった。
ありがとう、今日はもういいわ
そうモデルの女性に声をかけて、
次郎に居間でお話しましょうかと
先に立って歩き出した
「で・・・・話を聞こうじゃないの」
居間で向かい合って
絵の具にまみれた割烹着を脱いだ
画家に見つめられると 妙にドギマギした。