この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キャンバスの華
第2章 女流画家
こうやって洋服姿だと
先ほど感じた年齢が近い女性というよりは
幾分年齢が上のお姉さんだと実感できた。
次郎は素直に弟子にしてほしいと直訴した。
「ふ~ん・・・弟子ねえ・・・
じゃあ、あなたの作品を見せて」
作品もなにも次郎は学校の授業で
何度かスケッチをしただけというのを
白状した
「はあ?・・・・
あんた、それでよく上京したわね・・・・」
よくよく考えれば画家の言うとおりだった。
勢いだけで、
上京さえすればなんとかなると考えてた
自分が滑稽に思えてきた。
「絵は先生の弟子になって
一から勉強します!
どうか、弟子にしてください」
次郎にとっては彼女だけが
唯一の支えなのだ。
ここで断られて放り出されたら
尻尾を巻いて田舎に戻らなければならない。
なによりも今夜の宿が問題だった。
兄にもらったお金と自分の小遣いは
汽車賃となってあっという間に消えた。
無理を承知で住み込みで弟子にしてほしいと
床に頭を擦りつけて頼み込んだ。