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キャンバスの華
第7章 華の変化
「次郎さん・・・今日は疲れちゃったね・・・
夕餉(ゆうげ)はお蕎麦でいいかしら?」
華の指さした方を見上げると
蕎麦屋の提灯に灯が入ったところだった。
蕎麦を食べる二人に会話がなかった
ただ蕎麦をすする音だけが虚しく響いていた。
帰宅すると華は
「すごく疲れちゃったから
先に休ませてもらうわね」といって
そそくさと寝床に入った。
仕方なく次郎も寝巻きに着替えて
華の隣に潜り込んだ。
華は次郎に背を向けてじっとしていた。
『ひとつ機嫌を直してもらうとするか・・・』
次郎は手を伸ばして華の尻を撫でた
「華・・・おいで・・・」
誘ってみたが
「ごめんなさい、ほんとに疲れてるの・・・」と言って
体をずらして次郎から離れていった。
翌日も華の言葉数は少なかった。
朝餉(あさげ)を済ますと
「ちょっと買い物に行ってくる」と言って
身支度を始めた。
「買い物なら付き合いますよ」
付き添おうとする次郎に
「あなたは絵の勉強をしなさい!」といって
付き添うことを厳しく禁じられた。
華はお昼前に買い物から帰ってきた。