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夢の異邦人(エトランゼ)
第11章 同棲生活

電話を切ってから30分が経とうとしていた。
買い物もせずに店内を彷徨く有里に
店員が怪しみ始めた。

「お客さん、何かお求めですか?」
普通ならば誰も来ない時間なので
アルバイトの男の子はカウンター内に座って
のんびりとしたかったのだろう。
そこへ有里が飛び込んできて
何も買わずに店内をブラブラしているので
のんびりすることも出来ず
ずっとカウンター内で立ち尽くさなければいけないので、やや怒り口調になっていた。

「あ、ごめんなさいね…
じゃあ…これをください」
有里はお泊まりセットを手に取ると
レジに向かった。
今夜は大牟田の部屋に泊めてもらわなきゃいけないし、洗顔や化粧水の入ったお泊まりセットは必需品と思えた。

なかば強制的に店を追い出され
仕方なく有里は店の駐車スペースで大牟田を待った。
夜露が降りてきているのか
体がじとっと湿ってくる。
体が芯から冷えてガチガチと震えはじめる頃に
ようやく一台の車が近づいてきた。

「有里!さあ、乗って!」
停車した車の窓を開けて大牟田が手招きした。
有里は転げこむ勢いで助手席に乗り込むと
身を乗り出して運転席の大牟田にしがみついた。

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