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夢の異邦人(エトランゼ)
第11章 同棲生活
大牟田の車は軽のワンボックスカーで
夫の所有するレクサスに比べてはるかに小さく狭かったけれど、
ベンチシートと言うのか、運転席と助手席がくっついているので有里は大牟田にしがみつく事が出来た。
「おいおい、体が冷えきってるじゃないか」
有里の肩を抱いた大牟田は
夜露で湿っている体が冷たいので驚いた。
「暖めて…」
有里は、もう離れないとばかりに
しがみつく手に力を込めた。
「そんなに抱きつかれちゃ運転できないよ」
心配しなくても、もう君を離さないよと
大牟田は有里の頭をポンポンと叩いた。
何があったのか、
大牟田はその先を聞き出そうとはしなかった。
落ち着けば
有里が自ら話し出すだろうと思っていた。
とにかく今夜は、
どこか落ち着ける場所に行かないとな…
大牟田はハンドルを握りしめて
アクセルを踏み込んだ。
有里は大牟田の部屋に連れていってくれと言っていたが、彼女のいない独身男の部屋がどれほど悲惨なものなのか有里は知らないはずだ。
あの部屋を見せたら百年の恋だって冷めてしまう。
と、なれば向かう先はただ一つ…
大牟田の車は有里の了解も得ずに
ラブホテルのゲートをくぐった。